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もう4年くらい前になりますが、この連載で「ニュース番組が街頭からする生中継で、通行人の顔が映ってしまうのは大丈夫なのか」ということを書かせてもらいました。あのときは「不倫相手と歩いている人がいるかもしれないし、をついていることが仕事先にバレたりしたら大変だ」的な内容でした。
でも、いまやはるかに「生放送の危険性」は高くなってますよね。最近、あるワイドショーが「親御さんとの約束を破って、幼児の顔を放送した」というトラブルについて解説記事を書いたことで、改めて「一般人の顔をテレビが放送すること」の怖さを考えたら、なんだか怖くなってきたんです。
AIとか顔認識とか、さまざまな映像関連技術の発達を考えると、結構テレビって「いろいろな顔データ取り放題」の犯罪者にとって便利なツールなんじゃないか、ということに気がつきました。詳しい方からしたら「いまさら何を」という次元のことだと思うんですけど、なにせオッサンですから、「遅ればせながら」気がついたわけです。
なのにテレビのニュースやワイドショーは、かなりお気軽に「今日は暑かった」とか「雨が降った」とかの取材で、街角を歩いている人をほぼ無許可で撮影して、顔がわかる状態で放送してしまう。さらに生中継もバンバン行われていて、「お天気カメラ」がついている渋谷スクランブル交差点などでは、気がつかないうちにいつあなたの顔が生放送されているかわかりません。
これ、ちょっとしたホラーですよね。マジで何か対策が必要なのでは? 4年前ならコロナ禍でマスクをしてましたけど、いまや「顔をさらされないための個人情報保護マスク」をして街を歩かなければならない時代がもう来てるのかもしれません。
テレビ局も「通行人の顔にリアルタイムでモザイクをかけたり、フェイクの顔を合成する技術」とかを導入しないといけない時代になっているのかもしれませんね。
■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。