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無題


話題:おはようございます。
昨日の拍手23個ありがとうございます。携帯、明日から止まります。そんでもってまだ料金見直しかけてなかった。

今日は昨日よか暑くなるらしい。天気悪くなる予報だから蒸し暑くなるんかな…。



自己満小説season3 最終回、タイトルをシンプルに最終回に変えました。全15話なのは確定なわけで。

まだ回収してない人物がいるんで、(2)以降で久しぶりに出す。こんな奴いたよね〜的な感じで。
season2あたりで出てきた一般市民。鼎さんに拒絶されちゃった人ですな。season3で彼は晴斗と遭遇し、心境が変わったから行動するかと。



今日中に最終回を仕上げないと、携帯止まってからはずっともやもやしてしまう。不完全燃焼は嫌だ。


なにがなんでも今日中に完結させなければ。


御堂が珍しく鼎に笑顔を見せた描写、入れることが出来て良かったかも。よくよく考えると御堂ってあんま笑わないキャラなんだよね〜。
普段は口が悪くてツンツンした感じだから、笑顔をほとんど見せないんだよ。鼎との海岸のシーンはかなりレア。お前めっちゃ笑ってるじゃん!

海岸のシーンで御堂の話し方がいつもとちょっと違うのは鼎が相手だからです。鼎以外だとナチュラルに口調が悪くなるのにな。デレかな?本人はたぶん自覚ない。


(2)はラスボス倒してから約3ヶ月後になるかな…予定だが。もちろん数年後も出てきます。数年後は最初から最終回の規定路線。

(2)か(3)で長官引退がついに組織全体に知らされるんだわ。これも規定路線だが。
組織の中心がゼノクから本部に変わるのは話の終盤になるかな。数年後だから体制変わってそう。指揮クラスも一部は変わってそうですな。


最終回は回収祭りになってる。それと並行して主要人物達のその後もあるから最終回は…長いかも。
前半だけでも長くなりそうな予感。


season3 最終回(1)

この1件を機に変化が起きた者は他にもいる。それは新人隊員達。
平和になった今こそと、自主的に訓練を重ねている八尾と音羽の姿があった。

「八尾ちゃんもっと腰入れないとダメだよ!」
「音羽だってやみくもに撃ってちゃ意味ないよ。あの時の感覚を思い出そうよ!!」


「あの時」とは広範囲に出現した戦闘員との戦闘のことを意味してる。約1ヶ月前になるのだが。

それを遠くから見守る副隊長・仁科。
「八尾と音羽…真剣だな」


平和になり、開店休業状態のゼルフェノアは本音をいうと「暇」そのもの。暇ということは平和なのでいいのだが、訓練に余念のない隊員やトレーニングや鍛練を欠かさない隊員はもちろんいる。


新人隊員の中では八尾と音羽が伸びそうだね。他の新人は何人か辞めてしまったからなぁ。
吾妻と氷見は残っているが。

その任務のハードさゆえに、新人の離職が多いゼルフェノア。訓練もハードだが、新人研修さえ乗り越えれば少しは楽になる。
離職が多いのは敵が未知の怪人相手というのもある。人間相手とは次元が違うのだから。



晴斗はというと、高校ライフを謳歌していた。

……あの時の戦闘が嘘みたいだよ。怪人が出ない世界って…こんな感じなんだ。


彼は高校生活で平和を噛みしめている。青春サイコー!
鼎さん達とも会いたいけど、高校を無事に卒業出来なきゃ意味がない。ちなみに彼は高3だ。


晴斗はよく勉強し、よく遊び、よく部活の助っ人に駆り出されていた。鼎さんと出会う前はこんな感じが当たり前だった。

当たり前の日常が尊いよっ!



ある日の本部司令室。宇崎はいちかを呼んだ。


「室長、なんですか〜」
いつも通りの話し方のいちか。

「覚えてるか?『班長』の話だよ。かくかくじかじかあって、いちかに班長になって貰うことになったからな」


…かくかくじかじかってはしょりすぎだよ、室長。大事なところを省略してる…。


「班長は複数いるし、そんなに責任重大じゃないから。責任が問われてくるのは分隊長からだけどね」


本部には班長がざっくり5、6人いるがこの件で一部の班長は変わった。いちかはその入れ替わりの班長に抜擢されたわけで。ちなみに分隊長は2人いる。

そう考えると副隊長の仁科や隊長の御堂はすごい位置にいるわけで…。


「あたしに班長勤まるかなぁ」
不安を覗かせるいちか。
「いつも通りにすればいいが、人をまとめるのは難しいぞ。いちかからしたらキツいかもしれない」

「…やってみる」



ある日曜日。鼎は晴斗達仲間を誘い、喫茶店・珈琲藤代へと向かった。
鼎から誘うなんて珍しすぎる…。

喫茶店は日曜日にも関わらず、時間帯もあるのか空いていた。


マスターの藤代は御堂と同級生。彼は久しぶりに御堂を見て喜んだ。
御堂は彼の顔を見たのだが、怪人襲撃で負った醜い傷を未だに白い男性用のベネチアンマスクで隠しているあたり、彼の心の傷は深い。
仮面の上から眼鏡をかけているため、視界がかなり狭そうなのに器用にコーヒー淹れてる。


「御堂、久しぶりじゃないか。忙しかったのかい」
御堂はカウンター席につく。他の仲間はテーブル席に座った。

「先月までは忙しかったよ。ようやく落ち着いたんだ。『終わらせた』からね」


…終わらせた?

藤代は仮面を着けているため、表情がないゆえにリアクションを大袈裟にしがち。彼は無言で首を少しかしげてみせた。


「怪人あれから全っ然出てないだろ?平和になったってやつ。
だから怪人被害に苦しむ人間もだいぶ減るだろうよ」
「だからゼルフェノアは暇なんだね。ところで何にするんだい?」

「いつものブレンドコーヒーで」
「はいはい」


この店は居心地がいい。鼎達4人はテーブル席で女子会のようになっている。隣のテーブル席には梓もいた。

「この店めちゃくちゃ居心地いいなぁ。眠くなりそうだわ…」
初めて来た梓、危うく寝そうになる。彩音は慌てて制止しようとした。

「梓、寝ちゃダメだって。まだデザート来てないよ」
はっとなる梓。彼女はフルーツパフェを頼んでいた。


パフェ食いてぇ…。


鼎・彩音・晴斗・いちかは同じテーブル席にいる。そのテーブル席の隣に梓がいる形。御堂だけカウンター席という感じ。女子率が高い。

やがてそれぞれに飲み物やデザートが運ばれてきた。
この店にはマスター以外にもスタッフもいる。

「わーいスイーツ♪スイーツ♪」
いちかは大喜び。まるで子供のようなリアクション。

晴斗も喜んでる。いちかと晴斗はどことなく似てる面が時折垣間見える。


鼎はケーキセットを頼んでいた。飲み物はコーヒーだ。ケーキは種類によっては仮面をずらすだけで食べれるものもあるため、負担が少ない。
彩音はフルーツサンドとコーヒー。フルーツサンドは最近出来たメニュー。


「うわぁ美味しい…!」
彩音のリアクションはどこか見ていてほっこりする。
晴斗といちかもパフェを頼んでいたが、梓とは違うもの。

「キャー!おいしー!久しぶりにパフェ食べたよ。あああ幸せ〜」
いちかはオーバーリアクションタイプだが、たまにいきなり食レポもするため読めない。


鼎は淡々と食べていた。ケーキはバスクチーズケーキ。これならケーキは崩れにくいため、食べやすい。
「きりゅさん美味しい?」

うなずく鼎。鼎からしたら仮面をずらして口元だけなんとなく見えてる状態だからか、本人の負担は少ないけどちょっと食べにくそう。


「マスターって食べる時…困らないの?」
いちかは素朴な疑問をぶつけてみた。藤代はテーブル席を見ながら言う。

「…困るよ。人前では常にこの姿だからね。だから紀柳院さんは器用だなって思ってるんだ」
「…そうかな」



開店休業状態のゼルフェノアは少しずつ動きを見せ始める。

それが顕著なのが、ゼノクだった。


粂(くめ)は三ノ宮と共に本部の解析班のような部署を作れないかと、西澤にお願いしていた。

「うーん…解析班かぁ。あの時の連携を見ていたら確かに必要だよね。
よし、本部に掛け合ってみるか」
「本部!?あれ…ゼノクの指揮権、今本部に移行してるんですか?」

「ゼノクはほぼ復旧させたが、長官が動けないんじゃね。あの戦いの時点でゼルフェノアの全指揮権は一時的に本部に移行させてるよ」


そんなん知らなかったよ!?


西澤室長、せめて隊員に教えてくださいよっ!!隠すな!この秘密主義者が!

粂、思わずツッコミそうになる。
彼女はまだトラウマに怯えているが、三ノ宮のおかげで少しだけ持ち直した。



西澤は本部に掛け合うことにする。

「…というわけで、ゼノクにも解析班のような部署を作れないかと三ノ宮と粂から要望がありまして」

宇崎は「お前は何言ってんだ〜?」というような反応を見せる。


「それはゼノクの問題だろうが。甘ったれたこと言うなよ。
…あの件を機に本部とバックアップで連携を強化したいわけ?提案したやつは誰だ」
「三ノ宮と粂ですよ」


粂!?なんでまた粂が…。


「あの、宇崎司令。私達は本気なんです。まだ私はトラウマがひどくて怖いけど…。その影響で戦える状態ではなくなりました。
三ノ宮となら解析に協力したくて。今まで彼はずっとひとりで解析してたんです」

「ちょっと時間をくれ。粂の気持ちはわかったよ。今でも怖いんだよな…」
「……怖いです」


粂の声が震えていた。あれだけ強気の彼女の心をいとも簡単にへし折るなんて。
畝黒(うねぐろ)の影響は計り知れない。
彼女はあれから戦えなくなっていたのか…。

弓使いだった彼女はあれ以降、弓を握れずにいる。弓矢を持つと手が震えてしまう。とてもじゃないが戦えそうにない。



彩音は救護隊員になるべく、そして救急救命士の資格を取ろうと奮闘している。
ゼルフェノアは取れる資格が多い。
彼女は市民を多く救いたいがゆえに、メインの戦闘隊員から救護隊員を希望した。

これは鼎も知っている。
「彩音、進捗率はどうだ?」
「なんとかやれてるよ。ハードだけど、人助けがしたいから…」


救護隊員は官民問わず人助け出来るのが特徴。レスキュー隊とは異なる。救護隊員の仕事は主に怪我人の手当てだが、資格によっては治療もある程度は出来る。
人を多く救いたい彩音からしたら、救護隊員になりたいのもわかるわけで。


「鼎、応援してるよ。共に頑張ろうね」
「私も彩音を応援してる。救護隊員になれればいいな」

「鼎は司令になれるよ。今すぐじゃなくてもなれるチャンスはあるからね」



ある日、御堂はある海岸へと鼎を呼んだ。


「この場所覚えてるか?」
そこは岩場が多い寂しげな海岸。
鼎は記憶がうろ覚えなのか、首を振った。

「お前と最初に任務に来た場所だよ。思い出したか?懐かしいだろ?
司令を目指してる鼎にちょっとだけ初心に戻って欲しくてね。俺からの応援。ここ、眺めがいいことに気づいたんだよ。後になってからね。
大事なものって見えにくいんだな…。任務中、景色なんか見る余裕なかった。でもさ、綺麗だろ?俺の隠れスポットだ。お前に見せに来たんだよ、この景色をな」

御堂は笑顔を見せた。彼は普段、あまり笑顔を見せない。
鼎だけにはとびっきりの笑顔を見せてくれたわけで。


この海岸、人気がなさすぎる…。こんな場所で初めて戦ってたのか、私は。


「初心、思い出したみたいだな。景色はおまけにしてはデカイか。気分転換になったか?」
「……気分転換になったよ」

「鼎はつい頑張りすぎちゃうからね。無理しちゃダメだよ。
だから息抜きさせたくて呼んだわけ」



別な日。宇崎は西澤に「ゼノク解析班作っちゃえよ」とあっさり許可。
どういう風の吹き回しだ。


どうやら粂のことが引っ掛かっていたらしい。

ゼノクの状況、少しでも上向きになってくれればそれでいい。

寝苦しくなりそな予感


話題:ひとりごと
今日は中途半端に蒸し暑いんで、今は扇風機つけてる。
雨が降ってきた。明日は雨らしい。蒸し暑くなるのかなぁ。だとしたら寝苦しくなりそな予感。


今日のテレビ終わってるのでつけてない。マツコの知らない世界くらいしか見たいのがないわ…。

改編期に入ったから、曜日によってアタリハズレが激しい時期か…。改編期、嫌いだわ〜。
アタリの特番あれば見るが、最近のバラエティー番組はくっそつまらん。出演者が似たり寄ったりな人ばかり。内容もつまらない。


急速なテレビ離れが進んでる。
あまりにもつまらない時はDVD観ます。映画に走るわ。



いつぞやの時につまらなすぎて、エヴァ序と別な日にエヴァ破を観てました。
エヴァ新劇場版の円盤、序と破しか持ってないけどこれはこれで見応えがあるんだよ。やっぱりエヴァは好きだ。アスカは惣流派。式波はなんか…なんだろ。

ホントはシンエヴァが観たい。Qはどうでもいいんだが。


メトロポリスもひっさびさに観たが、なんだか刺さるんだよね〜。
漫画の神様原作の映画ってのもあるけどさぁ、りんたろう監督の安定感よ。しかも大友克洋脚本だっけか…スタッフの面子がやべぇ。



自己満小説最終回、season1・2とは違う感じにしたいが今までのは「俺達の戦いはこれからだ!」エンドがほとんどだった。少年漫画的なやつ。
season3は全てが終わり、平和になってるから終わり方をどうすっべ。ハッピーエンドにするつもりだ。主要人物には平穏であって欲しいじゃん。


集大成のseason3、最終回ではサブキャラの市民や隊員がよく行くお店を出したい。御堂がよく行く喫茶店は出るかなー。しばらく戦闘続きで行けてないからね。平和になった今こそ行けるだろうと。
一時期、晴斗達がたまり場にしてた場所なんだが。


サブキャラの風花は登場確定だ。老舗洋菓子店の看板娘。
設定カテゴリー見直したら→この洋菓子店、鼎は常連客でしたわ…。平和になった今こそ登場すべきだわ、このお店。ほっこり要素は必要。


自己満小説のほっこり枠(サブキャラ込み)がこの洋菓子店と看板娘だったと今さら気づく。
主要人物の癒し系は彩音なんですが。

最終回…序盤は新人隊員のその後スタートになるかな。晴斗のその後が出ていない…。
時系列はどこかで動きます。先の方にね。数年後――的なやつ。


season3 第14話(2)

それから3日後――

病室では二階堂が目を覚ました。


―――生きてる。


二階堂は無意識に上総(かずさ)を探していた。イチはどこ?

上総は隣の二階堂が気になり、チラ見した。目を覚ましたんだ!
彼は動ける程度の怪我なため、思わず二階堂がいるベッドへと向かう。


「二階堂…気がついた?」
上総の優しい声がする。

「…イチ………私生きてたんだ…」
「そんなこと言うなよ…。生きてるだけで十分だろうに…」


彼女の目から涙が溢れていた。二階堂は号泣。

「そんなに泣くなよ…。な?」
「………うん」



御堂達は本部へと戻っていた。


「和希、おかえりなさい」
鼎は思わず声を上げていた。声は優しい。

「お、おいっ!鼎…どうしたんだよ!?なんかテンション高くないか!?」
あれだけ寝た鼎は完全回復していた。

「嬉しいんだよ。和希に会えるのが…。だから……」
言葉に詰まる鼎。彼女は無言でぎゅっと抱きしめた。

「これが今の気持ちだからな」


いきなりハグするなよーっ!なんか恥ずかしい…。


今、鼎と御堂がいる場所は隊員達の往来が激しい通路の一角。
隊員達はチラチラ見ている様子。

「ちょ、照れるからこっち見んな!」
思わず顔を赤らめる御堂。鼎は無言のまま、ずっと彼のぬくもりを感じていた。


梓といちかはその通路にいた。

「あずさん、たいちょーハグされてる〜」
あからさまな言い方をするいちか。梓はニヤニヤした。

「いい感じじゃ〜ん」


「……お前らからかうな」
そう2人に言い放つ御堂。


彼は鼎を見た。よく見ると彼女は強い力でなかなか離そうとはしない。相当寂しかったのだろう。

御堂は鼎の頭を優しく撫でた。
「…お前、寂しかったんだろ」

うなずく鼎。鼎は彼の顔をまともに見れずにいるらしい。嬉しいやら何やらで、感情が渋滞しているんだろうな。


「鼎、落ち着いたか?さすがにちょっと……長いよ」
「わ、悪かった!」


思わず手を離し、御堂の顔を見る鼎。
彼女は仮面を着けているのに、どこか表情があるように見えるのは気のせいか…。

鼎もまた、不器用だった。


「場所を変えようか。通路だと迷惑だろ。どこにする?」
「……屋上」


屋上か。



本部屋上。久しぶりに御堂と鼎だけでここに来た。


「室長から聞いたよ。お前…司令を目指すって話」
さりげなく聞く御堂。

「長官から今回の件で司令に昇格するみたいな話を聞いたんだが…私は辞退したんだ」
「話蹴ったのかよ!?」
驚きを見せる御堂。千載一遇のチャンスを蹴るなんて…マジ!?


「私は『実力』で司令になりたい、組織を変えたいと言ったんだ。
だから司令資格試験を受けた上で、司令になるよ。じゃないともやもやする。何年後になるかはわからない。超難関な狭き門を通過するのは難しいからね」


実力で司令になりたいとか、初めて聞いた。室長達と同じ条件でなりたいのかな…。
実績を評価されるのは嬉しいはずなのに、わざわざ難しいルートを選ぶなんて…。


「本気で変えたいんだな。この組織を」

「外崎との出会いも大きかった。人間といい怪人の共存を実現したい。
いい怪人は差別がひどいと聞いている。肩身が狭いとも聞いた。人間態で慎ましく暮らしているだけなのに…。難しい問題だが、良くしていきたいんだ。
私はゼルフェノアをもっと市民に開けた組織にしたい…」


「夢」を持ったんだな。鼎は変わった。
具体的なビジョンが見えているなんて、俺よりも進んでいるじゃないか。



ゼノク隣接組織直属病院・長官用特別病室。


南は恐る恐る入室するなり、単刀直入に聞いた。

「長官、やはり引退するんですか…」
「再起不能と言われてはねぇ。西澤も勿体ぶらなくてもいいのにさ。
自分の身体だよ?なんとなくわかってはいたさ、こうなることは。
すぐには引退しないけどね。退院してまあまあ動けるようになってから、判断するから。引退しても組織はすぐには去らないよ。引き継ぎがあるでしょう」


「蔦沼長官が引退するとなると、次の候補は一体誰にするおつもりで?」
「空席のまましばらく行こうと思う。今現在…長官にふさわしい人間が見当たらないからね。
あ、あと…紀柳院は僕の司令昇格を蹴ったよ」


長官自ら、彼女に昇格のチャンスを与えたのに蹴っただと!?


「南、なにびっくりしてんのさ。話を聞きなさい。
彼女は自身の『実力』で司令になりたいと言ったんだ」
「実力重視で行くとは予想外ですよ…。
ってことは…あの試験を受けることになりますよね…。彼女からしたら荷が重いんじゃ」


「そうかなぁ」



約2週間後。憐鶴(れんかく)は苗代と赤羽を病室に呼んだ。


「大事な話があります。聞いてくれますか」

憐鶴さんが呼ぶってよほどだよなぁ…。


「『特殊請負人』を解散したいと思うんです。組織公認の裏稼業はもういらない。長官も以前言ってました。『今まで君にやらせてすまない』と。
私は隊員に戻りたくて…わがままですよね」

「…なんとなく予想してました」
「憐鶴さん、隠しても無駄なのに。バレバレだからね」


わかっていたのか。話が早い。


「…憐鶴さん、解散はいつするんですか?」
苗代が聞いた。

「そうですねー…。退院後でないと私は何も出来ませんし…。あの地下の部屋、少しずつ片付けて貰えないでしょうか。武器庫はそのままで」


この時点で苗代と赤羽は退院・復帰していた。
2人はすんなりと受け入れる。

俺達も元の隊員に戻る時が近づいている。



支部隊員達は京都の支部でわいわいやっていたのだが。


「小田原司令、支部はこのままでいいのか?本部とゼノクがだんだん変わり始めてる」
なんとなく司令に聞く囃(はやし)。

「うねりが起きてるな。大きなうねりがな。
囃、ここ(支部)を変えたいのか?」
「…俺……紀柳院ほどはっきりしたビジョンなんて持ってないし…。これからのことなんてわからねぇよ…」

「そのうち答えが出るんじゃないか」



組織の全指揮権はまだ本部のまま。司令室には宇崎・北川・鼎がいる状態。


「鼎、なんか緊張してない?大丈夫?」
宇崎は鼎におちゃらけて聞いてみた。

「…司令室はしばらく3人体制なんだな…。違和感があるよ…」
しどろもどろに答える鼎。


あぁ、だから緊張してたのか。慣れないもんな、鼎からしたら。
指揮出来る人間が3人いる状況なんて。

「ゼノクが復旧するまでだから慣れるって。鼎はもう少し肩の力、抜いたら?ガチガチだぞ。
それに今は平和なんだ。変に焦る必要もないでしょ」


確かにそうだ。今は平和なんだもんな…。


「試験勉強頑張ってるね〜。実技の予習は付き合ってあげるよ。…前も同じこと言ったっけ。
実技は筆記試験よか難しいからさ。先輩としてアドバイスするよ」

宇崎はテキストを見ながら勉強している鼎にそう優しく言った。テキストは分厚い。



さらに約2週間が経過した。


二階堂と憐鶴はそこそこ動けるようになる。彼女達は退院に向けてリハビリ中だ。


「芹那〜。退院近いってホントか?」
上総はいつの間にか二階堂のことを名前で呼ぶようになっていた。

「だいぶ動けるようになりましたし、近いですよ」
「お前、義手が気になっているのか?今は平和なんだぞ」

「……そ、そうだね…。慣れって怖いよね…。
今まで特注の戦闘兼用義手を使っていたから…通常のものを使うのは組織に入る以前以来なんですよ」


だから気にしてたのか。
まぁ、あいつからしたら義手・義足は身体の一部だ。違和感あるのもわからんでもない。

二階堂は上総から「芹那」と呼ばれるのが嬉しかった。
やっと名前で呼んでくれたよ…。素直じゃないんだから…。



畝黒(うねぐろ)を撃破してから約1ヶ月が経った。

ゼノクは研究施設の一部のセクションをメイン施設に移行する。これなら研究施設の復旧に時間がかかっても機能はそのままだ。


「西澤、強引な方法を使いましたね。長官が笑っていましたよ。モニター見てください」


西澤は言われるがまま、PCのモニターを見た。

そこにはリモートで長官の姿が映し出されていた。明らかに空元気な笑顔。


「…あ、長官」
「気づくの遅いよ」
「退院の見込みはまだ立たないみたいですか…」

「残念ながらまだ目処は立ってない。…あ、あんまりこっちを気にしないで。
僕は引退する身なんだし…」
「本当は色々気になっている癖に、ごまかさないでくださいよ」


わざと開き直りを見せたのが仇となった蔦沼。空元気なのがバレた。


「空元気はやめてくださいよ。なんだかんだ隊員達も長官のこと……ものすごく気にしているんですからね」

気にされてた。



―某日、とあるカフェバー。
鼎は御堂と一緒に来ていた。


「なんだよ話って」
ぶっきらぼうに聞く御堂。

「こうして2人で飲みに来るの…意外と初めてだなって」


言われてみればそうだった。2人きりはない。昼間、2人きりで食べに行くことはあっても、意外と夜は初めてで。


「平和になって良かったんじゃないの?じゃないとしっぽり飲みになんて行く余裕なんかないし…。
平穏を取り戻したんだぞ俺達は」
「……そうだね」


「悩みがあるなら好きなだけ聞いてやるよ。鼎はなかなか言わないからな〜」

「言ってもいいのか?」
鼎は不安そうな声を出す。


「遠慮すんなよ。俺達付き合ってる仲じゃんか」
「ぎこちないけどな…。
うまく言えないんだ、和希のことが『好き』だとはっきり意識したのは去年あたりとか、わりと最近だったが…無意識に惹かれていたかもしれないって」

「お前との付き合い自体は長いんだよな〜。先輩後輩時代を含めりゃさ。
鼎は自分が変わったと思うか?」


少しの間。

「変わったかもしれない」
「それを聞けて俺は嬉しいよ」





第15話 最終回へ。


season3 第14話(1)

壮絶な畝黒(うねぐろ)との戦いは終わった。ついに終わったんだ。


モニターをしばらく見つめていた鼎だが、全てが終わり安心したのかふらあっと後ろ向きに倒れそうになる。
北川は機敏な動きで彼女を受け止めた。

「紀柳院っ!」
あと少し遅かったら彼女は後頭部を打っていただろう。危なかった。


瀬戸口も駆けつけた。
「紀柳院さん!?」
北川は彼女の白いベネチアンマスクを僅かにずらし、呼吸を確認する。

「瀬戸口だっけ、大丈夫だよ。紀柳院は気を失ったみたいだから。安心したんだろうね。
長丁場だったから疲労困憊だったんだ。彼女は頑張ったよ。指揮…お疲れ様。ゆっくり休んで欲しいよ」


その後、北川は彩音と梓を呼んだ。

「俺が救護所に彼女を運ぶから、ベッドに寝かせてくれるかな。
コートは脱がせてね。紀柳院は今、眠っているよ。熟睡してるみたいだ」


北川は鼎を背負っていた。

怪我人じゃないし、担架で運ぶほどでもないからこうしたが。彼女をとにかく休ませてあげたい…。



救護所へ到着すると、北川は鼎をベッドの上に降ろし「後はよろしくね」と言い、出ていった。


彩音と梓は鼎をベッドに寝かせてあげている。コートを脱がすのは大変だった。
なんとかして布団の中に寝かせた2人。掛け布団の上には司令用の黒いコートを掛けておいた。

「こんだけ好き勝手されてんのに、全然起きないな」
「それだけ疲れているんだよ。だから寝かせてあげようよ。時々私達で様子見に来ればいいよね」

「彩音…悠真のやつ、成長したよな。あれから変わったんじゃないの?」
「…かもね。鼎を起こさないようにして出ようか。お疲れ様」


2人は静かに救護所を出ていった。救護所には鼎1人しかいない。彼女は熟睡してるのか、寝息を立てている。
鼎は泥のように眠った。



鼎が救護所に運ばれたあたりと同時間帯。御堂達は本館に戻り、西澤から怪我の手当てをしなさいと言われていた。


「病院行けっていうのかよ!」
ギャーギャー言う御堂。

「君たちどう見てもケガしてるよ。程度なんて関係ないからね。軽いケガでも手当ては受けろ。…本部に帰さないぞ。
宇崎はだらだら流血してるし、ほら消毒するから来いって!」


西澤が強引になっていた。

5人の怪我の程度は軽いが、手当てを半ば強引に受けることに。



ゼノク隣接組織直属病院。


「いだだだだだ!」

消毒が染みるのか、思わず叫ぶ囃と御堂。宇崎は額に包帯が巻かれていた。戦闘でひび割れた眼鏡はスペアを掛けている。
陽一だけほぼ無傷。怪我は切り傷程度。

晴斗も消耗が激しく、若干ふらついていた。
発動の威力上げすぎ要注意だ…。ぶっ倒れそう。


「念のため1日だけ様子見で入院しろだって。陽一は入院する必要ないよ、切り傷だけだから。
そしたら全員本部に帰っていいからな。特に消耗の激しいそこの3人!…寝ろ。
発動の消耗は点滴打たないと回復しないからな。だから寝ろ」

西澤室長のキャラ、なんか変わってない?
消耗の激しい3人とは御堂・晴斗・囃(はやし)のことである。

そんなこんなで陽一以外の4人は大事を取って1日入院するハメに。陽一はその間、西澤と一緒にいることにした。


西澤からしたら消耗の激しい3人は回復させる必要がある。じゃないとまともに動けないだろうね。


……それにしても御堂と晴斗はタフすぎやしないか?


攻撃力最大を使っておきながらも2人は倒れなかった。なんてやつだよ。並みの隊員だったら倒れてもおかしくないのに。それか、反動でダメージを受けてしまう。

反動でダメージを受けたのは憐鶴と二階堂だった。だから彼女達は重傷を負っている。



いちかはそーっと救護所の鼎の様子を見に来た。
びっくりするくらいにぐっすり寝てる。きりゅさん、警戒心が強いから普段はこんな姿滅多に見せないのに…。

相当疲れているんだね。



再びゼノク隣接組織直属病院…の、今度は隊員用のとある病室。
そこに三ノ宮が姿を見せた。


「……粂(くめ)、来たよ」

あれからトラウマで怯えている彼女は聞き慣れた声に反応し、ようやく顔を上げる。そこにはどこか頼りない眼鏡の見慣れた男性がいた。


「三ノ宮…」
粂は呟いた。

「三ノ宮は無事だったんだ…。私…あれからずっと怖くて怖くて怯えてる。腕へし折られた時は恐怖しかなかった」

三ノ宮は静かに話す。ぽつぽつと。
「ヤツは撃破されたよ。ものすごい地響きがしただろう?あの時倒されたって聞いた」


あの時の地響きは撃破された時の衝撃だったなんて、知らなかった。地震だと思い込んでたから…。

この病室にいる二階堂以外の隊員はようやく撃破されたと知る。


二階堂は眠っていた。起きる気配はまだありそうにない。


二階堂のベッドの横にある棚の上には西澤が用意した、真新しい義手が置かれていた。破壊された研究施設から探してきたとか聞いた。
施設内には義肢製作所もあるため、この襲撃で製作所は被害を受けたが義肢自体の被害は少なかった。

入院中ということで、通常のものだが見た目はスタイリッシュ。

上総(かずさ)は二階堂を気にしている様子。


憐鶴はこれを機に特殊請負人を辞めようか、さらに迷っていた。
組織公認の怪人対象の裏稼業をするくらいなら…隊員でいい。

決めるのは回復してからにしようか。



本部休憩室。


「…これで終わったんだよね……。なんだかしっくり来ないっすよ…」
いちかは本音を漏らす。

「ゼノク研究施設の被害を考えたら、手放しでは喜べないよな。あっちは負傷者多数だっていうし、こっちも隊員に犠牲者が出てる。
幸いなのは市民の負傷者が最小限だったことくらいか…」
梓は気難しそうな顔をした。

「うちの組織がヤバいのは、この件で長官が負傷したことだよなぁ。怪我の程度について詳細が出てないのが気になる。重傷なのか、どうなのか」
「梓もやっぱり気になってるんだ…」

彩音も深刻そうな表情を見せた。


「ゼノクは復旧に時間がかかるでしょう。しばらくの間は組織の全権は本部に移行したままになるかもしれませんね」
桐谷は推測した。西澤はあの時、緊急事態だからとゼルフェノアにおける全権を一時的に本部に移行している。今現在、ゼルフェノアの全指揮権は本部にある状態。

「きりやん、胸が痛いよ…。チクチクする」
「いちかさんは優しいんですね。鼎さん、相当お疲れだって聞きました。救護所で今、寝ているんですよね」

「うん。あれからまともに休めてなくて、疲労困憊だって北川さんから聞いたよ。だからきりゅさんを寝かせてあげてって言われたっす」
「寝かせてあげましょう。彼女も頑張りましたから」


ベテラン隊員の桐谷から見た中では、鼎は司令に向いているのでは…?と感じた。
サポートありとはいえ、健闘していたとも言うし。

「あずさん、本当はきりゅさんのこと気になっているんでしょ」
「おい!なんだよその呼び名。『あずさん』はやめろよいちか!
………気になってんよ」

梓は意外とわかりやすい人。ツンデレか。



ゼノク隣接組織直属病院・長官用の特別病室。


秘書兼SPの南はあれからほとんど言葉を発しない蔦沼が気がかりだった。

「……南、僕の検査結果って出たの?怪我の深刻度についてなんだけど」
「まだ…出ていません。時間がかかっているあたり…気になりますよ」


蔦沼は南を横目にした。

「怪我の深刻度によってはこのまま引退かなぁ。最大出力で雷撃2発撃った反動でダメージ受けちゃったからさぁ…。
前々から進退については考えてはいたんだが、ゼルフェノアは大きく変わろうとしていると感じてるんだ。
…本部は変わるんじゃない?紀柳院が変えそうなんだよね。ゼノクも変わりそうな気がするんだ」


南は何も言えなかった。

進退についてやっぱり考えていたのか…。それも真剣に。



本部第2休憩室。ここには応援に来た支部隊員達がいた。
まだ支部には帰れない彼ら。囃待ちなんだが。


「囃のやつ、まだ帰って来れないみたいだよ」
そう切り出したのは鶴屋。
久留米が聞き返す。

「囃が激戦でえらい消耗したんだっけ?あいつが帰ってくんのは明日?」
「久留米さん、隊長が退院するのは明日と聞いてます。様子見の入院なので怪我は大したことないらしいとかなんとか」


月島が遠慮がちに言う。高羽も気にしていた。

「様子見で入院『させられた』んじゃないの?西澤室長、ああ見えてたまに強引らしいじゃんか」
「あぁ、やりそ〜だね〜」

久留米が悪ノリする。
支部隊員の雰囲気はお通夜ムードの本部隊員の一部とは異なる。



解析班。朝倉はかなり遅れて神(じん)を迎え入れた。


「神さん言うの遅れたけど、おかえりなさい!」
「生きて帰ってきましたよ〜。俺がいないと『解析班じゃない』んだろ。俺もしっくり来ないんだ」

「その言い方、やっぱり神さんだ」
喜ぶ朝倉。それを見守る矢神達。解析班はどこか穏やかな雰囲気。



本部司令室では北川がひとりだけ。彼は西澤と連絡していた。


「――と、いうわけでもうしばらく本部にいて頂けませんか。ゼノクの復旧には時間がかかりますし…。
なので当分の間、全指揮権は本部に移行したままにしますよ」
「この際だから本部を中心にしたらいいのでは?世間のイメージは本部が組織の中心だぞ」

「…しかし、そこは長官次第ですし」
「その蔦沼はまだ動けないと聞いたが、どうなんだ」


「思っていたよりも怪我がひどくてね…。まだ長官には検査結果は言ってませんよ。
長官、引退するか考えているようだったからなかなか言えなくて…」
「そこは言おうよ!ねぇっ!蔦沼は悩んでいるんだよ!!ゼノク三役は付き合い長いんだろ!?」


「組織を大きく変える人、現れそうですよね。北川はもう気づいているんじゃないのか?」
なぜか話をはぐらかす西澤。こいつ、はぐらかしやがった…。

「薄々気づいてるよ。早くて数年後になるかもね、ゼルフェノアが変わるのは」



救護所では鼎が深い眠りについている。起きる気配はゼロ。
今度は桐谷が様子を見に来ていた。

あんなにもぐっすり眠っている鼎さん、珍しい。移動中の車内ならわかりますが、ずっとプレッシャーと戦っていたんですね。


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