箱穹
prof bkm


2012.9.12 18:04 [Wed]
0912
話題:みじかいの
蒼い空が、海に恋をした。

まったく異なる性質の彼らだったけれど、空はほんとうに海を愛していた。

ある日、空はついに海に告白した。

「愛している」

静かな海が、かすかにさざめき立った。

海は言った。

「わたしもです、空よ」

「海よ、わたしの所へ来てくれ。一緒になろう」

海は、かぶりを降って言った。

「わたしは高みへは昇れない。空よ、あなたが堕ちてくればいい」

「海よ、それはできない。わたしは堕ちることが許されないのだ。神がそう定めた」

「空よ」

「海よ、こんなにも愛しているのに」

「悲しいけれど、わたしたちは一緒にはなれないのだろうか」

海はすすり泣いた。

「海よ、あなたをわたしの色に染めたい」

「空」

「あなたはわたしのものだ」

「あぁ、空」

「いつまでも」

空の蒼い色を、海が映すようになったのは、こんないきさつがあったからなのだ。

同じ蒼色に溶け合った空と海は、水平線の際で見つめあっている。


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