17-d SS部屋

ここは 17-d のSS置場です  
 ■ 占領、フォトグラファー    2022/5/6 22:38
ぐだ(男)×アスクレピオス
2022年GWコラボイベ マイルームネタ


【占領、フォトグラファー】


それはあまりにも短すぎる時間で行われたことだった。
朝起きて、この時は普通だった俺の自室。
いつものように着替えて、顔洗って、朝ご飯を食べるために部屋を出る。
これが俺が見た自分の部屋の最後の姿だった。
そして、訓練やレクリエーション、会議、周回など、いつもと変わり映えしない行動を終えて自分の部屋に帰る
途中、もうすぐ部屋につくというとろこでアスクレピオスと廊下で会った。
偶然出会ったというわけではなく、丁度俺の部屋に向かう途中だったらしい。
俺は驚いたような顔をしてたのかもしれない、アスクレピオスが少し不機嫌になって、なんだ?そんなにおかしいことを言ったか?、と言い出したので俺は慌てて、そんなことない、と否定する。
「俺も会いたかったから……」
会いたいと思っていたのは自分だけじゃなかったんだな、とそう素直に伝えれば、アスクレピオスは目を丸くしながら頬を赤く染める。
そして照れるように視線を逸らした。
俺はそんな照れているアスクレピオスの袖の上から手を取って引いて、自室へと歩き出す。
といってもすぐそこだったので、すぐに離すことになるなぁ、と思っていたのだが、アスクレピオスが腕ごと抱き着いてきてびっくりする。
思わず顔をそちらに向ければ、顔ごと逸らされる。
照れてるところもかわいいなぁ、と思いながら自室に入るためにキーを入力し、扉を開く。
扉が開いて中を見た瞬間、俺は叫んだ。
「うわあああぁぁぁああああ!!!!」
そこにいたのはフォウ君だった。
しかも、1体じゃない、大小さまざまな大きさで、部屋のそこら中にいた。
穴が開いた天井、その穴から覗き込む姿はもはやホラーだった。
ベッドにどーんと占領する一際大きいフォウ君。
退かしてみようしたけど、びくともしないし、退こうともしない。
なんという図太い神経。
部屋の中を見たアスクレピオスも一応は驚きはしていたが、すぐにいつもの表情に戻る。
「せめてベッドだけでも空いてればな」
「……問題はそこじゃないと思うんだけど」
休むだけなら確かにベッドだけ空いてれば十分といえば十分だけど……。
「ねぇ、しばらくアスクレピオスの部屋にお世話になっていい?」
俺は早々にこの部屋を放棄することを決めた。
アスクレピオスはしばらく俺の顔を見つめていたが、すぐに笑顔を見せた。


‐ ‐ ‐


フォウ君に部屋を占領されて数日。
未だに占領されたままで部屋に帰れない日々が続いている。
俺の部屋の惨状を知ったサーヴァントからよく同情されるが、代わってくれるサーヴァントはいない、みんな意外と非情である。
だけど、合法的にアスクレピオスと一緒の部屋でいられるからこのままでもいいんじゃないか、と思い始めてもいた。
ある日の朝、食堂でアスクレピオスと一緒に朝ご飯を食べているときだった。
いろんなサーヴァントに挨拶代わりに部屋の様子を聞かれて、変わってないことを伝える。
そんな中、マシュが気遣ってか「私の部屋にきてもいいですよ。ほ、ほら、ずっと同じ人のところにいると負担にもなると思うので」と申し出てくれたが、さすがに女の子と二人きりというのはちょっと気が引けるし、何よりダヴィンチちゃんやホームズがいい顔をしない。
でも、その心遣いには感謝を返して丁重に断った。
やっぱりずっといるのは迷惑だよなー、と思い始めて、もう一度自分の部屋を見てみることにした。
一週間も経っているんだ、さすがにもういなくなっててもおかしくない。
「一回部屋に戻ってみようと思うんだ。ずっといるのも迷惑じゃない?」
「僕は一回も迷惑だと思ったことないが」
「でもこのままというわけにはいかないでしょ」
ということで、朝ご飯を終えてから一緒に部屋を見に行くことにした。
「いなくなってたらいいなぁ……」
なんていうのは建前で、本当は名残惜しい。
このままずっといてもいい、なんならフォウ君たちに部屋をあげてもいい。
さすがにそれを言葉にするわけにはいかないから言わないけど、考えていることが表情に出やすいとよく言われるから本心でないことは見抜かれそうだなぁ、とは思う。
そんなこんなですぐに到着してしまった我が自室。
二重の意味で開けたくないけど、そういうわけには行かず、アスクレピオスに見守られる中、意を決して開けた。
そして、絶叫した。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!! 俺の部屋があああああああ!!!」
なんと開かれた扉の向こうには撮影スタジオがあった。
スタッフは全員フォウ君で、監督がいてカメラマンがいて、撮った映像を編集してるフォウ君もいて、それはもう立派な撮影スタジオだった。
物理的にも空間的にもこんな広さなかったし、一体どうなればこうなる!? と頭の中は混乱でいっぱいだった。
「うるさい、マスター。……お、部屋の端にだがちゃんとベッドあるぞ。よかったな」
そう言いながら、俺の腕を引っ張って撮影スタジオと化したマイルームを横断していくアスクレピオス。
「ちょ、ちょ、まって! 待って!! ベッドはあるのはいい、何撮る気なの? ちょっと、めっちゃカメラ向けてくるし、ホント何撮る気?!!!」
被写体を見つけられて嬉々として一斉にカメラと目線を向けてくる撮影スタッフになりきっているフォウ君たち。
怖い怖い怖い、とそれ以外の感想が出てこないくらい怖かった。
「一旦ストップ! 出直そう! これは全然よくない!」
引っ張るアスクレピオスを逆に引っ張り返して、渾身の力で廊下まで戻す。
二人とも廊下まで出たところで扉を閉めて、一度冷静になる。
この部屋で過ごせるかどうか、といろいろシミュレートして考えた末に答えを出す。
「ごめん、もうしばらく厄介になっていい?」
「しばらくと言わず、ずっといればいい」
「……あ、ありがとう」



同室編の内容は考えるだけ考えてはいるが書く気はない

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