17-d SS部屋

ここは 17-d のSS置場です  
 ■ 毛布とぬくもり    2021/3/16 01:10
ぐだ(男)×アスクレピオス


【毛布とぬくもり】


あまりの寒さにいつもより早い時間に目が覚めた。
これは一体何が起きているのか急いで着替えてダ・ヴィンチのもとにいくと、空調を管理するパネルが故障したらしく原因がわかっているので長期にわたってこの状態が続くということはないらしく、遅くても今日には復旧できるという。
でも一時的にとはいえ空調が使えない状態である以上、この寒さを一日は堪えなくてはならない現実は変わらない。
俺は暖かさを求めて布団片手に無意識に人工の太陽の光が差し込むいつもの小部屋と足を運んでいた。
小部屋に着いたけれど、まだ日が昇ったばかりのようで暖かくはなかった。
普通の布団じゃなくて毛布にすればよかった、と思っても取りに戻るのも億劫だった。
でも他に行くところが思い浮かばない俺はその部屋に備え付けれた長いソファに横たわり、布団を被った。
最初は寒くて仕方なかったのだが、少しずつ日も昇ってくているのだろう。
いつの間にか寒さによる震えがなくなって布団の中は暖かくなっていく。
そして暖かさに包まれながらそのまま眠ってしまっていたのだった。


‐ ‐ ‐


「……ん」
俺は暑さで目が覚めた。
体は汗でじっとり滲み、服が汗で濡れて気持ち悪い。
空調はすっかり元通りで、日も昇っていて直射日光が部屋に入り込み、暑い理由を理解。
暑苦しいので、布団を腰くらいまでめくりあげた。
「……ん?」
布団をめくってから気付く腰にしがみつく存在の姿。
そこにいたのはとても穏やかとは言い難い眠りにつくアスクレピオスの姿。
いつも手まで隠れるほど長さのある袖のある服をきているに、珍しく半袖だった。
布団の中にいたせいか、白い肌ときれいな銀色の髪は汗に濡れている。
いつからいたのか、なぜ布団の中に……、など疑問は尽きないが、とりあえず起こすことにした。
「おーい、起きろー」
肩をゆすると、呻く声がした。
そしてゆっくりと瞳が開かれる。
「……ん、……ますたー……?」
寝起きの舌足らずな声で俺を呼ぶ。
瞬きを何回かした後、欠伸をする。
それからゆっくりと身体を離して、起き上がったかと思うと、今度は首の方に抱きついてきたかと思えば再び目を閉じる。
「……寒い、布団」
「え? あ、うん。……うん?」
「……おやすみ」
「いや、なんでよ」
もぞもぞと動きながら引っ付いてくるのは気分が悪いとはいえない。
この体温が心地よくて、つい俺もこのままうとうとしてしまいそうになるが、このまま寝てはいけない。
言われるがままに布団を掛けてから、どうしてまた寝ることになっているのかと疑問を持つが――。
「………………………………」
アスクレピオスの安らかな寝顔を見ているとどうでもよくなってきた。
たまにはこんな穏やかな日があってもいい。
暖かな陽だまりが包み込む部屋で、俺たちは時間が許す限り、惰眠を貪るのだった。



Zzz……

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